このままで、良いわけがない。

マリナが参加予定の学会があった週末。運転手として一緒に都会に足を運んできました。訪れたのは、今住んでいる場所から一番近い都会のヒトツ、ボルチモア。ま、近いといっても3時間弱の運転は覚悟しなきゃいけないのですが（笑）

日々、気温が落ちていく秋口の中で、ふっと気温が上昇した秋の夏日だったその日。都会の中を車でぐるぐる回る中で、考えさせられる経験をしました。依然だったら深く考えなかった事なのに、この夏を終えてから見えている風景が違うのか、心に引っかかった事があります。それは、町中にいる、”段ボールに『助けて下さい / Help me』と書かれたメッセージを持った”人々の存在。多くはホームレスだと思う。僕のイメージにあった、汚れた格好をした男性というホームレス像は、崩れてしまいました。子連れで道端に立って段ボールを掲げている人がいて、アジア系のスーパーの前には、こぎれいな格好をした僕とそんなに年齢は変わらないだろう女性が立ちすくんでいたり。

考えてしまいます。

自己責任っていう言葉で片付ける乱暴さ

貧困やホームレス、そして何よりも『自己責任』という、現代社会に当然の様に存在する考え方についてはずっと関心はあったのだと思います。昔から、関連書籍やドキュメンタリーは見る様にしてた記憶がありますし、小さな本棚の中にも何冊か関連書籍は残っています。

以前は、”自己責任”という概念に賛同していたのだと思います。

頑張ればいい結果が得られる。頑張らなければ生活レベルは下がっていく。それは資本主義社会では当たり前の事で、そこには良い訳も弁明の余地もないと思っていたのです。だからこそ頑張れたし、だからこそ日々上昇志向の塊でいられたのです。

ただ、この一年で自分の力の及ばない所で環境が変化していくのを見て、『自己責任という言葉で問題解決をしたと勘違いしてしまう乱暴さ』を強く感じる様になりました。頑張らなくても、努力しなくても、全ての人が”良い思いを”するべきだ……とは思っていません。怠惰に生きたい人は、それなりのリターンを覚悟すべきだと思うし、因果応報という考え方も基本的に賛成です。

ただ、努力する機会すらをも潰してしまうのは、自己責任という言葉に問題解決を委ねきった、つまりは現実から目を背けた逃げの一手なのじゃないかと思う様になったのです。

努力すれば安定した生活が送れると信じていた日本。そんな恵まれた（”と言われる”）国でも、若年層を含めた今迄のホームレス像にない人達が増えてきていると聞きます。そして、アメリカでは、相も変わらずホームレスが沢山存在し、問題となっている格差社会は、その歪みを広げ続けています。

この問題。一回のエントリーで纏めきるのは難しいので、また続けてシリーズ化の様にして書き続けてみたいと思っています。秋の、それでも暑い程の日差しの中でみかけたホームレスの人々。考える事が答えではないと思いながら、考える事が答えに繋がる一歩だと信じながら。

ちなみに……

僕はアメリカこそ、てっきり”自己責任論”にまみれた社会だと思っていました。でも、英語には、”自己責任”っていう単語は存在しないのですね。Personal ResponsibilityとかIndividual Accountability、at your own risk、self – responsibilityとかいろいろ考えましたが、でもどれもしっくりこない。もしかしたら、アメリカには、”自己責任”として”自分の努力が足りなかった事”に対する関心が日本よりも小さいのかもしれません。それほど、アメリカは、生きている環境によって、形にできる人生が違ってきます。いつでも逆転するチャンスはある様に思えますが、そのチャンスにすら環境が必要で、日本とはまた違った問題提起が必要なのかもしれません。

そこも加味しつつ、僕なりの答えを紡いでいけたらと思うのです。