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アメリカでの出産物語【前編】

公開日: : 最終更新日:2015/04/12 essay / エッセイ, 里央菜(りおな)




 

里央菜と一緒に生活をするようになって約半月。二人三脚で必死に子育てをする僕ら夫婦の葛藤や心配、んでもって多少の失敗にも関わらず、里央菜はすくすくと大きくなってくれています。

親も勉強。子供も勉強。何が正解かもわからない中、検索を繰り返し、先輩パパ&ママにご意見を伺い、そしてなにより里央菜の表情を読みつつ心の声を聞ける様に頑張っています。

僕の母国の日本でもなく、マリナの母国のイスラエルでもない、お互いにとって外国のアメリカでの出産と子育て。文化の違いは言うまでもなく、お互いの価値観、生まれ育った環境(経験)、これまでの生き様、全てが表面化してくる子育てです。不安だし大変だけど楽しい。不思議な感覚に包まれた日々です。

 

里央菜とマリナと一緒の時間で日々がどんどん過ぎていく。だからこそ、大切な記憶である里央菜の誕生物語(アメリカでの出産物語)を含めて、ひとつひとつ文章に残そうと思うのです。

 

 

マリナの(ご両親の)文化のひとつ。赤ちゃんが健康に産まれるまでは、大々的に赤ちゃんの話をしないというもの。

その為、妊娠中も文章にしたいことはいろいろあったのですが、マリナのご両親の気持ちも理解できるからあまり文章にはしてきませんでした。(それでもSNSに書いてたけど。)健康に里央菜が生まれてきてくれた今、義両親が話すのは里央菜のことばかり(笑)。妊娠中の葛藤とかも文章にしたいなぁ。ま、僕が妊娠していたわけではないのだけれど、アメリカで日本人じゃない妊婦と過ごす日々ってのもそれなりに大変だったわけです。

 

さて。

面白いもので、マリナの妊娠がわかってから、僕らの周囲にも妊婦さんがいるというニュースが耳に入るようになって。

単純に2015年の春生まれが多いのか、あるいは僕らのアンテナが「子供」というカテゴリーに鋭くなって、今までは「おめでとう」というお祝いの気持ちだっただけの感覚が、「一緒に頑張ろう」という同士の感覚になって、心にひっかかっているのか。面白いです。

 

 

予定日超えちゃう?

 

なんとなく……

「予定日よりは前に生まれそうだよね。」

と話していた僕とマリナ。

特に根拠があるわけではないのだけれど、ずっとそんな気がしていたのです。予定日は越えないだろうと。

 

身長が180cm越えのマリナ。

臨月に入った時も、身長に比例してか、お腹の大きさはそこまで大きくなかったのだけれど、37週、38週と進むにつれどんどん大きくなって。こりゃすぐにでも会えるなぁと思っていたのが38週目。それでも39週目の検診では、まだ子宮口が全く開いてない(1cm)からもっと先だねと言われて少し落ち込んでしまったり。

 

まだ予定日よりも前なのに、ね。

なぜか予定日を超えちゃうことに不安を感じていたのです。なんでだろう。この感覚はまだ説明できそうにないのだけど。

 

 

周囲は予定日よりも1週間以上早く産んでるのに。

 

強いて論理的な説明をするのであれば、上記に記載した、ママになる沢山の友達が、すでにママになっていたことが影響しているのかもしれません。

不思議な事に、ほぼ全てのママが予定日よりも1週間〜数週間早く出産を終えていたのです。みんな同じ時期の予定日だったはずなのに、予定日の3月17日近くになって気がついてみると、妊婦でいるのはマリナだけ。

 

出産が大変だったというストーリーや、我が子に会えた瞬間の喜びをメールや電話で耳にする度、「いまかいまか」と焦りと共に待ってしまうのは不自然なことではないはずなのです。

 

加えて周囲からも「そろそろだね〜」っというお言葉を頂くようになり、少し焦りにも似た感覚が生まれてきたのかもしれません。

予定日前なのに不安になる。これも不思議な感覚でした。いくら医学が守ってくれるとはいえ、出産は命がけ。その出産を終えて、早く里央菜と会いたいという気持ちが強かったのだと思います。

 

 

予定日直線、誘導分娩の前の最後の検診。

 

予定日の前日、16日。最後の定期検診。

最後」と書いたのは、この定期検診で子宮口の大きさが一定の大きさになっていなければ、次にお医者様に診てもらえるのは実際に誘導分娩をする日。検診の結果次第では誘導分娩の日程を決める、最後の定期検診の日だったのです。

 

あまり定期検診には一緒に行かない僕も、この日はマリナにお願いして一緒に行かせてもらうことに。

 

一通りのバイタルチェックが終わって、マリナのお腹の中にいる里央菜の心音を久々に聞いてワクワクしつつ、お医者様の「まだ子宮口は開いてないねー」という言葉に少しがっかりして。子宮口をマッサージする相当の痛みに耐えるマリナの手を握りつつ、いろいろ考えを巡らせていました。

 

さて誘導分娩の手続きをどうするかなー」なんて思っていた時、お医者様が「あっ」と声をあげたのです。

 

 

予想と違った、ある意味での誘導分娩

 

お医者様

あれ、破水してるかも。というか、私、破水させちゃったかも……

 

僕とマリナ

!?そんなことあるんですの!?

 

お医者様

なんか液体が多いのよねー。確認の検査するからもう少し待ってて。

 

 

破水ということはつまり、心構えができているかどうかとは関係なく、里央菜は24時間くらいの間にこの世に出てくる必要があるのです。羊水がなくなったお腹の中に赤ちゃんはいられないわけだし。

 

ドキドキです。というか、頭が回りません。

もう予定日をすぎることを覚悟していた思考回路が、もしかしたら今日とか明日に出産になるという状況で、こんがらがってしまっていました。その最後の検診までマリナは、陣痛も破水もなーんも実感がなかっただから。

 

 

しばらくたってお医者様が戻ってきました。

やっぱり破水してるわー。病院(本館 / 車で30分くらいのところ)に連絡しておくから、準備してすぐに向かってねー。おめでとう。頑張ってね!

 

マリナ

え?今からですか?シャワーとか浴びていいの?ご飯とかは??

 

お医者様

ゆっくり準備してもらっていいけれど、4時間以内には病院に行ってね。そこから陣痛誘導剤とか使って誘導分娩になると思うから。

 

マリナ

はい。じゃ、夕方3時頃までに病院に行けばいいんですね。一度仕事場に戻って午後の仕事の……

 

いやいや……マリナ、できるだけ早く行こうぜ。仕事とか後から電話でなんとかなるっしょ。俺からも連絡しておくし。

 

 

後からマリナに聞いたら、冷静に見せかけながら実際は相当パニックになっていたみたいです。

もうすぐで里央菜に会える。でも、出産という大きな壁が残っている。っと。

 

 

今までにないほどの慎重な運転で家に戻り、作り置きしておいた卵サラダのサンドイッチをかけ込み、準備してあった小さなスーツケース(出産バッグ)を持って、30分ほど離れた大病院まで車を走らせました。

 

なぜか超スローペースなマリナと、ストレスがかかると一気に問題解決モードに突入して効率と生産性が上がる僕の処理能力が、面白いくらいのコントラストを描いていたように思います。父親はこの時、なにもできないんですけどね。

 

無事病院に到着し、そのまま個室へ入院。

ここからマリナの大冒険が始まります。里央菜がこの世に生まれてくるのです。

 

 

中編に続きます。)

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