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例え無理だと言われても。

公開日: : Sashi.Co, 世界のお話, 思考の具現化




アメリカでの子育ての事とか、娘の日々の成長とか、たくさんブログに書きたい事はあるのだけれど、こうしてパソコンの前に向かうと、どうしても母親の事業の「Sashi.Co」について想いを巡らせてしまう不思議を経験しています。娘が起きている時は、脳みそ100%娘に集中しているので、娘のお昼寝中に書くブログでは、もっと時間を割けたらいいなぁ(今の娘との関係は変えずに)と願っている母親への事業に想いを巡らせるのかもしれません。しかも、その母親の事業に、ずーっと関わりを望んでいた大槌刺し子が関わってきたのだから。

 

えー。なにはともあれ日々が充実してまいりました。無職になって、落ち込んで、友達に会いに行くのすら怖かった1年半前が嘘のようです。そんな自分を鼓舞するために。そして、常識外のフィールドで挑戦を始めようとしている仲間と、もしかしたらこの挑戦が社会問題への最適解の一つになるかもしれないという期待を込めて文章に。

 

常識外のフィールドで戦おうとしている

 

母親の特技は、刺し子作品のプロデュースです。それで起業をしました。刺し子という、一針ずつ手で針を進める手仕事。

 

手仕事が中心の製造業(特に作り手を大事にする製造業)では、一般的なビジネスモデルは通用しません。

「効率化」「経費削減」という製造業における大切な言葉が、違う意味を持っているからです。

 

「購買における仕入れ価格の引き下げ」という経費削減は、ほぼあり得ません。

「経費削減のために納期を徹底し、工程を管理する」という概念は、関わる人を不幸せにするだけで、利益すら産みません。

 

この常識が通じない業界で働いてきて6年。一時は経営も任された経験で、「手仕事」という仕事の特殊性は身にしみてわかってきたつもりです。

 

携わる人の全てが楽しめるビジネスをしたい

 

あるいは、常識を押し通すことは可能なのかもしれません。

可能な限り分業化をし、それぞれの工程で効率化をはかり、一つの作品に費やす費用を下げ、価格競争力を上げる。不可能ではないのかもしれません。ただ、間違いなく言えるのは、その効率化によって、関わる人が不幸せになってしまうということです。

 

工場のライン作業のようなものを求めるのであれば、刺し子作品そのものを工業化して機械で作っちゃったほうがいい。

一人の刺し子さんの、一針の思いがあって、一点ものの作品ができるからこそ、価値があるのだと思っているからです。見た目が素晴らしい、100個でも100万個でも同じ形をした工業品では生み出せない価値を、手仕事によって生み出しているのが刺し子だと思っています。

 

その「違い」を、価値あるものにするためには、携わる人が楽しんでいるビジネスでなければならないと思います。

作品に、気持ち(念)は、間違いなく宿ります。

 

平等という名の不平等を変えたい

 

「頑張っている人が、努力している人が、頑張らないと生きていけない社会は何かが間違っている」

と僕は常々思っています。ワーキングプア(働く貧困層)という現実には強い疑問と関心を抱いています。

 

理想論かもしれません。

でもこの現実は変えなきゃいけないと思ってもいるのです。

 

もしかしたら、ワーキングプアの状況に陥ってしまっている人は、頑張っている方向が違うのかもしれません。でも、頑張っているのであれば、それだけ報われるべきだと思うのです。当たり前の生活ができるだけの範囲で、その努力を保証するのは、きっと社会の役割だとも思うのです。

方向が間違っているなら方向を正すという役割を。

頑張っている業界で価値がない仕事を頑張っているのなら、その仕事に価値を見出す仕事を。

 

僕は、そんな役割や仕事を果たせたらと思っています。

 

頑張ってない人や、努力をしない人への支援は不必要です。そこまでは他人が関与するべきではないとすら思います。

ただ、頑張っている人、努力をして能力を上げようと頑張っている人には、やっぱりそれだけの見返りがあるべきです。能力だけで報酬が変わり、人脈だけで生き方が決まるという世界が、少しでも変わったらいいなと思うのです。

 

*これは日本だけじゃなく世界規模の話で思っています。生まれた国によって、その後の人生がまったく違うという現実に、ずーっと違和感を感じ続けているので。

*能力主義を否定するわけじゃありません。能力がある人はどんどん報酬を得ればいいし、僕もその一人になれればいいと思っています。ただ、頑張っている人にも、一般的な生活ができるだけの報酬があってもいいと思うのです。「資本家が利益を得られるかどうか」だけで判断される価値観の中では、手仕事という昔からの文化は育ちません。

 

 

例え無理だと言われても

 

これを知人に話すと、

「そりゃ無理だ(笑)」と言われます。実際、5年前の僕に今と同じ話をしたら、笑い飛ばしていたでしょうし、その話を繰り返す知人がいたら、付き合うのをやめてしまっているかもしれません。なんか面倒だし。求められる能力を磨き、お金に変える手段を得たほうが、よっぽど生き易い。

 

震災後の大槌で、刺し子さんに出会って、ずっと”種”として抱えていたこの思いが芽吹きました。

大槌刺し子を通して特定NPOテラ・ルネッサンスと出会い、この思いは固まりました。

 

 

”全ての生命が安心して生活できる社会を目指して”

 

特定NPOテラ・ルネッサンス(以下、テラルネ)の創業者の鬼丸昌也氏と初めてお会いした時に聞いた言葉です。テラルネの基本理念です。

僕の解釈ではありますが、この「安心」には様々な意味合いが含まれます。

 

テラルネは主なる事業として、「地雷」、「小型武器」、「子ども兵」、「平和教育」という課題に対して取り組みながら、「安心して生活できる社会」を目指していらっしゃします。

大槌における「コミュニティの創出」は、上記の紛争事項には当たりませんが、「安心して生活できる社会」を全ての人に届けるためには、とてつもなく重要な役割を担っていると思うのです。

 

誰かに会える場所がある。

何かができる時間がある。

お金を得て、自分の価値を確認する機会がある。

 

当たり前のことかもしれませんが、その「当たり前」が全ての人に行き渡ることが、案外と難しいのです。全ての人に「贅沢」が行き届けば良いと思っているわけではなく、「おいしいご飯」と「一緒にご飯を食べる家族や仲間」がいる環境を得ることは、努力をすれば叶えられる社会であって欲しいと思っています。

 

たとえ無理だと言われても。

繰り返し、そして繰り返し、想いを言葉にして、母親の刺し子業を通して、想いを形にできれば。

 

 

 

 

 

 

 

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