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幸せな平凡 or/and 刺激的な日々

公開日: : essay / エッセイ, 日々の小話




人間というのは面白いもので、一度手にしてしまったものの価値(ありがたみ)は忘れがちになるのに、失ってしまったものへの価値感(執着心)は、薄れるどころか増してしまうようで。隣の芝生はいつも青く、人様が食べているものは一層美味しそうで。

きっとこういう人間の本性は百年も千年も前から一緒なのだろうけれど、毎日の生活の一面だけを切り取って人様と共有できるSNSが登場してからは、歪な形を伴って大きくなっているような気がして。湯葉の様に、「表面の美味しいところだけを削り取って食べて、それでも本体の豆乳も味があって旨い!」というような理想的な話であればいいのだけど、でもだいたいにおいて、その美味しい所の下に隠れているのは、できるだけ見たくないような色をしたものだったりするのです。SNSは人類を不幸にする……っていう言葉は、あながち正解なのかもしれません。

 

薄っぺらい世の中にはしたくないもので。

でも、まだまだ未熟な俺も、例にもれず表面の湯葉の美味しさだけを競っているような状況で。

 

ちょっと気分が優れず、でも、気がついて腑に落ちたこと

 

里央菜が産まれて依頼、基本的に毎日「幸せだなぁ」と思える瞬間を感じることができている。子育て専業主夫だった最初の二年間(厳密には一年半)は、もう子供と一緒に生き延びるのに必死で、他人になんぞ興味はなかったし、もっと言えば自分にすら興味もなかったくらいで。必死に家事をして、必死に子供の面倒を見て、やっと寝てくれた里央菜の寝顔を見て「幸せだなぁ」と。ただ、そんな余裕のない生活では、どこでも息が抜くこともできず、それを心配した妻が里央菜を保育園に通わせることを提案してくれて、今の微妙な「空き時間」を楽しめていて。

 

「仕事が再開できるぞ!」

 

と張り切ったのは最初の半年ほど。

娘が保育園に通って、俺の自由時間は増えるとはいえ、日々の家事や子育ての責任が消えるわけじゃなく、どうしても在宅でできる範囲でしか仕事は拡大できずに。

 

ちょっと気分が優れず、「どうしたんだろう」と悩んでいた時に気がついて、そして腑に落ちたこと。

 

「あ、俺、退屈してるんだ。」

 

幸せであっても退屈は感じる。というか、寧ろ退屈であるくらいの生活の方が幸せを感じやすいのかもしれない。「退屈」という言葉の定義にもよるけれど、安定していて変化がない日々であることは間違いないのだから。とりあえずの、お金の心配も健康の心配もしなくていいから、退屈なわけで。

SNSで知人友人の活躍を見て、刺激的な日々にもう一度飛び込みたいと思う気持ちを形にすることは、今の俺が取れる最適解なのだろうか?きっと違う。でも隣の芝生は……というよりは、自分のテリトリー以外の芝生は、どうも自分の芝生よりも青く蒼く見えてしまって。

 

きっと、「刺激的な日々」と「幸せな退屈」を両方形にしている人はいると思うのです。「刺激的」と「退屈」は対義語になるくらいの扱いだと思うけれど、でも、刺激的な仕事をしつつ幸せな退屈を味わっている人が居ないとは思えない。と同時に、僕と同じように、「刺激的」と「退屈」の割合で悩んでいる人もきっと多いんだろうなと思うのです。特に子育てをしている家庭で、子育てをアウトソースしてない家庭においては。

 

だって、子育ては「退屈」を子供に教える所から始まるから。

決まりごと、お約束、毎日の習慣、ルール。全部退屈だもんな。その退屈が築き上げられた上(築き上げられる過程中も)で、子供は自己表現を覚えていく。でも、退屈が築き上げられている(と思っている)大人にとっては、やっぱりそのプロセスは退屈だ。でも、その退屈なプロセスを一緒にできるのは、やっぱり幸せなんだ……。

 

なんていう堂々巡りです。

何かを変えたいわけじゃない。でも、何かが物足りない。

 

 

 

少なくとも、こうして思いを文章にできている段階で、俺の子育ての最繁忙期は終わったんだろうなと、不思議な気持ちでおります。

今後は、この退屈な日々に、きっと娘と一緒に刺激を加えていけるんだろうなと希望を持ちながら。そして、きっと娘の描く刺激についていけない俺がいて、それはそれで苦しむんだろうなと苦笑いしながら。

 

 

子育て専業主夫をやったからわかること。今も主夫だから伝えたいことでした。

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