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鬱的な考え方に至る過程について

公開日: : 未分類




思うところがあって、2012年6月にFacebook上に書いた文章をブログで共有することにしました。後々のブログで、なぜこの文章を共有しようと思ったかも書けるといいなぁと思います。

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心理学博士であり、現役の米国臨床心理士である嫁と約5時間程、議論をした。

 

 

テーマは「鬱的な考え方に至る過程と、日本文化の影響について」

 

 

”鬱に至る過程”という定義も、日本文化の定義も凄く広く捉える事ができるので、あくまで僕というフィルターを通した一般論として一読頂ければ嬉しいと思いつつ、同じ悩みを持つ人の力に、少しでもなれたらと思って文章にしてみます。

 

 

 

きっかけは6月16日に判明した僕のビジネスに対する認識の甘さ。全て上手くいっていると思っていたあるプロジェクトに綻びが判明し、その結果、全力で向かっていた自分にブレーキがかかる。情けない事にそこで思考がストップ。その週末を、ほぼ寝て過ごし、週明けの月曜日からも、最低限預かっている仕事をコナす以外は、寝たり、テレビゲームをしたりして過ごした。睡眠と頭を使わない作業(ゲーム)を繰り返す中で、完全停止した頭は徐々に回復して行く。そんな日々の中で、とてつもない”不安”に襲われる様になり、最終手段のサプリ”5-HTP”を飲んだのが6月26日の昼。セロトニン(*1)を生成するサプリ(薬品?日本では未認可)で、薬の服用をしていない僕みたいな人間にとっては、都合の良いサプリ。5-HTP→セロトニン→メラトニンという過程を通るため、不安は一時的に安らぎ(考える事が落ち着いて)その後、不安に襲われる事なく眠れる様になる。そんなサプリ。

 

 

夕飯後、考える事が落ち着いた時にぼーっとしていて、その”ぼーっとしている状態”が、僕にとってはまず珍しい状況なので、嫁が心配して話に発展。そして、議論となって、僕にとってとても大切な時間となったので、こうして文章にします。経緯はこんな感じです。嫁はプロの心理カウンセラーだけど、結婚相手にカウンセリングするときには仕事モードにはなれず、だからこそ興味深い話も聞けるのかなと。

 

 

 

まず第一に、僕の思考が停止してしまう理由として、僕が完璧主義者であることが上げられる。これは僕が人生で初めて”うつ病”と診断された19歳の時には既に顕著になっていたもので、その後の何回かのうつ病体験とカウンセリングを通して、今では少しは落ち着いてきている持病っぽい性格。他人に完璧を求める事はないのだけど、自分に対して、”自分ができることの最大限かつ最高のパフォーマンスを常に発揮し続ける事。立てたスケジュールは完璧にコナす必要がある”という強迫観念に近い考え方があるのは今も一緒。

 

 

今回の様に、予定(予期)していた事象に問題が発生し、それの解決への道筋が予定されていなかった場合、あるいはその解決への道筋がスケジュールの大幅な変更を必要とする場合、思考がシャットダウンする。そして、何もできなくなる。まるで黒か白かで物事を判断するかのように、二元論で判断する。できるかできないか。仕事をする上で、それでは多くの方に迷惑をかけてしまうので、スケジュールを考える時に様々な潜在的な問題も考えた上で予定を組むし、ある程度の予備日も設けるのだけど、調子が良い(ハイパーな)状況だと、「俺はなんでもできる」と勘違いし、そうした予備日を組む事も、余裕を持たせる事も、遊びを作る事もなく日々走ってしまうため、こういう事体になる。良いとか悪いとかじゃなく、なってしまう。反省しなきゃいけない点。

 

 

思考停止に続く行動として、一度シャットダウンすると、周囲の迷惑を考えて近々で仕事を頂いている方には事情を説明し、時間の猶予を貰ったり、予定をキャンセルして頂いたりする。そうしてバランスを取りつつ、今迄生きてきた。迷惑をかけた人も沢山居るし、それが僕の評価に繋がっている事もあるだろうし、なによりも迷惑をかけた人に申し訳ない。

 

 

一定期間思考をストップさせた上で、思考は徐々に回復に向かう。その過程で、少しずつ仕事や課題を始めるのだけど、その徐々に回復した思考は己を蝕み始める。

 

 

「なんでもっと早く対処できなかったんだ。なんでもっと早く回復できなかったんだ。」

「6月16日からの10日間は本当に無駄な10日間だった。○●だってできたのに。あー無駄だ。」

「こんな無駄な日々を送っている自分には価値がない。」

 

 

っとネガティブな考え方が自分を責め立てる。まるで、第三者が後ろにいる見たいな感じで頭の中に声が響く。(*2)

 

 

 

嫁との議論は、「僕の価値観」と「嫁の価値観」の擦り合わせの作業、だ。

どちらかが正しいとか間違っているという訳ではなく、僕が今苦しんでいる価値観に、違う価値観をインストールする作業。一番印象に残った擦り合わせへの問題提起はこれだ。

 

 

“10日間は時間の無駄だったのか、どうか。”

 

 

嫁の価値観では、その10日間は”考えない事”を強制する必要な時間。僕の価値観では、”あれもこれもする事ができたはず(でもできなかった)”の無駄な時間。こういう考え方をするとき、ある意味では極端な考え方をしている場合がある。

 

 

 

“必要以上に寝てしまう事、楽しいとすら思わないゲームをする事は無駄で、怠けだ”

 

 

と考えると、うつ的な思考に突入する。でも考えるのをヤメる事は難しい。極論で、怠けだと判断してしまう。うつ病は脳内物質の不足から派生する病気だと頭では理解しつつ、うつ病は怠けでは絶対にないという知識はありつつも、主観的には怠けだと判断して後悔してしまう。怠けていた自分、価値の無い自分、どうしようもない自分、と。

 

 

そこに矛盾があるんじゃない?と嫁は言う。

 

 

「Real Lazy people never regret what they have done because they choose to be lazy.」(本当に怠け者の人は、一日の終わりに怠けたな…と後悔することはない。なぜなら、怠ける事を選んでいるから)

 

 

「People can enjoy being lazy, but you do not enjoy being lazy. Suffering by “what you haven’t done” is completely different from being lazy.」(怠ける事を楽しむ人がいるなかで、貴方は怠ける事で苦しんでいる。”しなかったこと”で苦しむ事は怠ける事とは全く違う)

 

 

 

ここで日本的な考え方(*3)が頭を出すのだが、僕には「怠けることを楽しむ」という概念が無い。テレビゲームをする事を、沢山寝る事も、本を読む事も、余暇としてはとても有意義だと思うし、必要だとも思っている。でもそれは、選ぶ余暇であって、こうして強制的に寝なきゃいけなかったり、ゲームで頭を使わないようにするのは、やっぱり時間の無駄だと感じてしまうのだ。これは僕だけの感覚なのだろうか?それとも、実際に「怠ける事を楽しむ人」も日本にはいるのだろうか?

 

 

実際に嫁の指摘する矛盾は理解する事はできるし、うつ病への治療法のヒトツとして”意識的に怠ける”事が必要なのは分かっている為、意識的に怠けたこの10日間は無駄じゃなかったと理屈では説明できるのだけど、なかなか腑に落ちない。

 

 

この腑に落ちないというのもうつ的な考え方への道筋の様で、健常な方は、「ま、仕方ないか」で日々前に進めるというから正直羨ましい。

 

 

 

“達成すべき目的を憂う”事に意識を集中させ過ぎて、今の瞬間を楽しみきれていない、と言う。日本人が好きな貯金という概念も、未来への不安を意識して、今お金を使う楽しみを犠牲にするという概念がベースにあると思う。未来、”起こるかもしれない不幸な事”に焦点を当て過ぎて、今を楽しめないという苦しみは、将来起こりうる苦痛と同じくらい苦しんじゃないかなぁと嫁は言う。

 

 

これも論理的には理解できる。でも、未来の不安が大きすぎて、今この瞬間を生きるという考え方をインストールするには、まだ時間が必要だ。

 

 

 

うつ病を経験する人は、”こうあるべき”という価値観が強い人が多い。完璧主義者も多い。そういった”こうあるべき”を習慣として考える前に、”本当にこうあるべきなのか?”と自分に質問することはとても有意義だと嫁は言う。僕も実際、それは大切だと思う。

 

 

僕の勝手な価値観、10日間ですべきことだったリストに照らし合わせて「生産的な事ができなかった10日間は無駄だった」っと簡単に結論を出す前に、こうして自分に質問する事によって違う考え方も生まれてくる。

 

 

とはいえ、僕はこれは一人ではできない。一人ではどうしても脳内で質問をして違う答えを出す前に、既存の価値観に照らし合わせた答えを導きだしてしまう。それの方が簡単だし、傷つかないし、何より時間的に効率的だし。その中で、こうして話に付き合ってくれ、僕のかわりに僕に質問をしてくれる嫁がいることはとても有り難いと思う。本当感謝だ。

 

 

5時間の議論では、もっといろんな事を話したし、今後も議論は続けるつもりなので、こうして文章に残していきたいと思う。自分で自分に質問を浴びせ続ける事はとても難しい。苦しい作業だし、痛みも伴う。同じ苦しみを持っている人に、「一度立ち止まって自分で考えてみたら?」なんて簡単にはアドバイスできない。

 

 

そのかわり…と言ったら違うかもしれないが、嫁との会話をこうして文章に残す事で、うつ的な考え方に苦しむ人の力に、微力でもなれたらっと思う。

 

 

こうして、続けて書いて行けたらと思っています。お時間、ありがとうございました。

 

 

 

 

(*1)セロトニンという脳内物質の精製異常がうつ病を引き起こす事は有名です。一般的に言われる抗うつ剤等は、このセロトニンを脳内で精製するのを手助けするものが多い様です。

 

 

(*2)脳内の声というのも説明上仕方の無かった表現です。実際に幻聴が聞こえるわけではないですし、誰かがいるわけでもないです。もし、実際に誰かが話しかけている感じがしたり、誰かが見えたりする場合、統合失調症の恐れがあるので、お医者様に見て頂いた方がいいと思います。それは考え方でどうにかなる問題じゃないので。ちなみに、うつ病も考え方でどうにかなる問題じゃないです。

 

 

(*3)日本的な考え方…っと文章作成上ひとまとめにしていますが、これは嫁が西洋の考え方、僕が日本的な考え方と乱暴にカテゴライズした上での表現方法と理解頂ければと思います。日本の中にも沢山の考え方はあるわけで、それを普遍化しようとしている訳ではないです。

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