*

新しい服を買わない人生

公開日: : シリーズもの, 刺し子 ,




刺し子業を抜けてから3年半。

もぬけの殻になった時期や、子育て専業主夫の時期を経て、最近自分自身も刺し子を再開しました。以前は、「刺し子ビジネスとしての数字を見ること」が第一の仕事で、刺し子は「商材を知らなきゃ話ならない」程度の気持ちで取り組んでいたのですが、最近は純粋に針と糸が作り出す作品を楽しんでいます。手仕事&針仕事、なんだかんだでやっぱり楽しいのです。

 

自分なりの刺し子の定義

刺し子には、様々な定義や解釈があることは理解しています。冬、雪に囲まれる各地の山国に存在した刺し子。それぞれの文化が残っています。「針と糸を使った手仕事」が刺し子であることは間違いないのですが、それに加えて、自分なりの刺し子の定義を持つようになりました。

 

それは、「布に感謝をしつつ、補強&修復&修飾をする手作業」のことを刺し子と定義するのが自然じゃないかと思うように至ったのです。言い換えると、刺し子は結果ではなく過程であると。時たま市場に出てくる「刺し子」という言葉で説明された布地は、プリントだったりします。「刺し子風」と説明があれば問題ないのですが、日本の幾何学模様をプリントされただけだったり、機会縫いされただけの布地を「刺し子」と呼ぶのは、なかなかに抵抗があるのです。そんな時に、自分なりに納得できる定義というのが、「刺し子は結果ではなくプロセスへの呼称」なんじゃないかということです。

 

刺し子というプロセスを楽しむ人生実験

刺し子を使ってお金を稼いで会社を維持する必要がない今、僕にとって刺し子は趣味と仕事の両面を持っています。遊び半分、マーケティング感覚半分でデニムに施した刺し子が、想像よりもいい反応を頂いていて、ふと、この刺し子を使った社会実験(人生実験)をしてみようかなと思いついたのです。

 

“今後、新しい服を買わない”

 

 

昔の農民は、一着の野良着を、その一生ずーっと着続けたそうです。夏の畑仕事で破れたり解れたりした場所は、冬の間に妻に直してもらう。その補修や補強の作業が刺し子だったのです。そして、その一着の野良着を、その農家の長男が受け継ぐ。そんな時代を超えた布に対する感謝が、BOROとなって世界の美術コレクターに愛されているのです。

 

「昔の人ができたんだったら、俺もできるんじゃないか」

そんな簡単な気持ちで、この実験を開始してみようと思います。

 

新しい服は買いません。新品は勿論、中古品も買いません。今現在ある服のみを着まわして、解れたり破れたりしたら、その都度刺し子をして補修します。それなりに衣類は沢山持っているので、周囲の皆様にご迷惑になるような(匂いとか)事はないと思っています。その過程だったり、刺し子をした作品だったりを、ウェブで紹介していけたらと思っています。基本的には、この僕個人のウェブで紹介していけたらと思っていますが、順調に刺し子が勧めば、母親の個人事業のSashi.Coのウェブサイトでも紹介していけたらと思っています。

 

何点か例外だけ。

  • プレゼント等、僕のプロジェクトを知らない人からの頂きものの服は、しっかりと頂戴する。妻を含めて、知人にはできるだけこのプロジェクトのことを話して、新しい服をプレゼントしないようにお願いする。
  • 着まわした古着の寄付は有難く頂く。これは、そのまま着るためではなくて、補強&補修の為のパッチにする為です。
  • 下着&靴下等の肌着は新品を購入する。はい、これだけは周囲に迷惑を書けないための最低限度の身だしなみだと思うので、ご了承下さい。

 

さてさて。どうなることやら。

30歳も超えて、いろんなことを経験して、アメリカに移住して。

もう普通の「就職&昇進」のレールはないなぁと寂しく思うときもあるのですが、そんな逆境すらも楽しむ感じで、この日本らしい究極のもったいない美学を形にしていけたらと思っています。お楽しみに。

 

*語弊を招かないように説明です。昔の人は、「仕方なく」補修&修復をしていたのかもしれません。そして補修&修復するしか無いのであれば、お洒落にしようと。刺し子は本来、新しい布の入手がとても困難だった地域にて発展した文化です。今回の僕の活動は、その昔の考えを否定したり嘲笑したりするものではなく、個人的な「刺し子とはなんぞや」への挑戦だとご理解いただけたら幸いです。

Sponsored Link

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + +
ブログランキングに参加しています!
クリック頂けると嬉しいです。明日も頑張れます。

育児 ブログランキングへ
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + +
= = = = = = = = = = = = = = = = = = =
*コメントを書いた後、エラーになる事が確認されています。もしエラーになった場合は、CONTACTから直接メッセージを頂けますと助かります。
*Sometimes, this blog blocks your comment and display an error message. In that case, please send me your comment by filling the Contacts Page above and clicking the button showing "送信". Thank you !
= = = = = = = = = = = = = = = = = = =

関連記事

お金と、自分の存在意義と。- part.1 –

  ちょっとしたスランプの様な感覚は、日々薄れる事も濃くなる事もなく、まるでずっと隣

記事を読む

no image

前社長の葬儀、及び忌明け法要を無事執り行いました。

ブログでのご報告が遅れてしまいました…。 あまりの急な出来事で、個人的にも会社的にも気持ちの整理がつ

記事を読む

刺し子と共に生きていく。

さて。 34歳の誕生日を、知人のプロジェクトのお手伝いで徹夜作業で満喫し、一ヶ月程経過して、少

記事を読む

no image

僕にできること。僕にできたこと。

本舗飛騨さしことして、そして個人的に支援をしている 「大槌復興刺し子プロジェクト」 2月2日に着任し

記事を読む

2013年も楽しんでいけたら。

新年、あけましておめでとうございます。 思いっきりスタートダッシュに躓いている感じですが、 ご挨拶は

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Sponsored Link

  • 2017年8月
    « 7月   10月 »
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031  
PAGE TOP ↑