*

想像の遥か上で形になりそうな

公開日: : Sashi.Co




 

ずっと準備を進めてきた、母親の起業プロジェクト。

30年以上、それこそ文字通り身を粉にして働いてきた会社から追い出される形になった現実を乗り越え、素直に自分と向き合った結果生まれたストーリー。

 

僕自身、20代中盤からの全てを、それこそ結婚生活を犠牲にしてまで守ろうとしてきた会社という全てを、母親と共に追い出される形になって、「もう二度と絶対同じ分野には関わるものか」と決別したつもりだったのだけれど、普段は人に頼ることを嫌がる母親から、「力を貸して欲しい。」とお願いされれば、僕の小さなプライドなどはどうでもよくて。

 

『好きな刺し子を、好きなだけする。結果、何かしらを社会に伝えることができればいいし、何かしらが未来に残ればいい。』

 

そんな気持ちで2014年の雪解けの頃に少しずつ動き出したプロジェクトは、コツコツとした手仕事を積み重ねる準備期間を経て、ようやく完成したいくつかの作品たちと共に、こうして宣伝活動も始めようかなっという段階まで辿り着きました。

 

 

予想を遥かに上回るポテンシャル

 

っと……こういう、僕が書ける文章の範囲でデビューを飾り、その流れでいろんなストーリーを書き続けるつもりでいたのですが、流石、そこはウチの母親、KEIKOさん。僕の想像を遥かに上回る形で準備をしていた様なのです。

 

そして、明確になりきらなかった起業のビジョンも、その”誰に向けたかよく分からないドッキリ”でがっつり固まることになったのです(笑)。

 

もうね。プロジェクトのパートナー(僕)へのドッキリとか(笑)

 

 

ウェブにて公開予定の2015年1月を控えた2014年12月。東京でスタジオキッチンを経営されていて、親子で仲良くさせて頂いている知人を訪れた際に、その友人の方から送られてきた母親の写真です。

 


keiko_harajuku_3

 

 

「あ〜、母親の元気そうな笑顔みるの久々だなぁ。」と一瞬思った後、

 

!? あれ!? 着ちゃってる??

 

俺に制作過程の写真を送ってくれてた作品、着ちゃってね??

しかも、僕に「刺し子頑張って作るよー」って言ってた作品だけじゃなくて、フルセット!?

 

当初の予定(少なくとも僕の理解)では、作品を作り、インターネットで作品を紹介し、オンラインで販売できればいいし、可能であれば世界中のどこかのギャラリーに置いて販売をさせて頂けたらいいねって話だったのです。

 

ジャケットとか羽織るものだけ。

しかも、オンラインを中心に。ウェブでの画像も、ジャケットの画像を切り抜いただけのようなもの以下の画像だけ。

 

jacketsashico

 

 

 

切り抜いた画像だけでも、かっこいいなぁとは思っていたのですが、同時に「モデルもいたらいいねー。」なんて話をしていたのです。まさか母親がモデルになろうとは……。前職時、どれだけお願いしてもメディアには出る事を拒否し続けた母親が……。

 

 

モデルになってるし、しかも楽しんでるし(笑)

 

違和感がないのがまた素晴らしいのですが、モンペ履いてるし……よく見ると草履も!

打ち合わせの段階では、「刺し子が好きだから、刺し子を残せる様に私が好きな作品を作り続けるよー」っという感じだったのですが、この写真を見る限り、「刺し子が好きだから、刺し子が生まれた背景も鑑みて、その当時(大正時代前後)のファッションをこの社会に提案していくよー」っという強い意志がひしひしと伝わってきます。

 

製造業(刺し子作家業)だけでブランドを成り立たせることに不安を持ちつつ、「ま、母親の楽しみでもある事業になればいいか」と想像していた僕の考えを一新する写真でした。これは、「作品を作り、お客様に販売する」というだけでは終わらないポテンシャルを持っている気がするのです。

 

しかも、この”もうすぐおばあちゃんになるKEIKOさん”のファッションと作品を、まずは海外に紹介を……というプロジェクトなのですから。

 

この写真を頂いて、すぐに母親にメッセージ。

すぐに返事がきて、

 

keiko_Line_message_harajuku

 

 

脱帽しましたよ。

誤字脱字があるのはご愛嬌。

 

この12月に”藁草履”って……。野麦峠の糸女工か……(ローカルなツッコミですみません)。

 

 

 

 

メッセージは続きます……

 

 

「野菜もお米も喜んでもらえたし!」

 

 

 

って……

 

!!!??ん??

 

まさか……冬の飛騨ネギ、飛騨高山から持ってきたのか??カゴに入れて??確かに冬の飛騨の長ネギは最高に美味しいけど……。ってか、お米ってその袋、飛騨から高速バスで運んできたの?

 

質問をメッセージしても母親はなぜか既読無視モード(笑)

仕方がないので、母親が訪れている知人の方と繋がってた、FB上で、

 

淳:「まさかお米も……持参しやがりましたか?」

 

と確認したところ

 

Yさん:「15キロのお米……。5キロじゃ面白くないっておっしゃってます(笑)」

 

っとの返事。

 

 

あぁ。そうね。確かに5キロばかりじゃ面白くないしね……って。おいっ!!

 

keiko_harajuku_2

 

確かによく見れば……リンゴも飛騨産のリンゴな気がするし。

お米の袋も、高山の知人のお米農家さんのお米な気がするし(←超美味しい)。

 

すげーわ……っと。

 

 

 

 

爆笑すべきなのかもしれませんが、正直な話、泣きそうになってました……。

 

 

社長だった夫を亡くし、

30年以上尽くしてきた会社を追い出される形になり、

後継者だと信じ、頼りきっていた長男(僕のこと)すらも、家業から切り離され、

 

「意見の相違があった私を切ることは理解できる。でも、あれだけ頑張っていた後継者を切り離すことだけは許せない。」

 

っと柄にもなく怒りで壊れそうになっていた母親。

 

「でも、私は大丈夫だから。」

 

っと強がってくれていた母親。

 

 

 

そんな母親が、こうして穏やかな笑顔で、自分が好きな刺し子をもう一度始めようとしている。デザイナーで、刺し子職人で、一人で会社のコアの実務を、ある意味で一人で回していたからできる、KEIKOさんならでの離れ業を軽々と、しかも信じられないような大きいビジョンと共に……。

 

嬉しくて、有り難くて、泣きそうになってました。

 

 

新しいブランドは「Sashi.Co」と名付けました。

KEIKOさんが30年尽くし、僕の20代を捧げたテーマは変わらず、「刺し子」です。

 

ただ、以前の会社には無かった概念と、そして側面をお見せできるのかなっと。

 

 

昔の会社の経営陣と仲良くできる気はありませんが、

以前はチームメイトだった、その会社で働くスタッフの皆様と、刺し子職人への皆様への尊敬は変わりません。ある程度大量に製造できる刺し子も、残していくにはとても必要なことだと思うし、その存在意義は計り知れないものがあるとすら思っています。僕のアイデンティティだったわけですし。

 

その以前の刺し子を尊重しつつ、否定はせず、僕とKEIKOさんは新しい一歩が踏み出せるんだなっと思っています。

 

Sashi.Coのウェブはこちらから。

sashicologo

 

 

 

アラシックス(60歳前後)でこんなことが始められちゃう母親に心から尊敬の念を抱きつつ、最後に、もしかしたらこの社会に付加価値を作り出せる一歩になるかもしれない写真を一枚貼って。

 

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 

KEIKO & 淳

keiko_harajuku_1

Sponsored Link

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + +
ブログランキングに参加しています!
クリック頂けると嬉しいです。明日も頑張れます。

育児 ブログランキングへ
+ + + + + + + + + + + + + + + + + + +
= = = = = = = = = = = = = = = = = = =
*コメントを書いた後、エラーになる事が確認されています。もしエラーになった場合は、CONTACTから直接メッセージを頂けますと助かります。
*Sometimes, this blog blocks your comment and display an error message. In that case, please send me your comment by filling the Contacts Page above and clicking the button showing "送信". Thank you !
= = = = = = = = = = = = = = = = = = =

関連記事

Sashi.Co & 刺し子

  久々に里央菜以外の話題も書きます。 子育てが中心の日々だけれど、それ以外に

記事を読む

【追記】母親と共に。

  昨日書いた、母親と共に抱いている感謝の気持ちと、母親への感謝の気持ちについてのブ

記事を読む

母親の 刺し子 事業に込めた願い

  順調にスタートした母親の 刺し子 事業、「Sashi.Co」。 さすがに事

記事を読む

no image

Sashi.Co FAQ / お問い合わせの回答をば。

  I was about to update the product page r

記事を読む

子育ても仕事も一歩ずつ。

あけましておめでとうございます。 ほとんどブログの更新ができなかった2016年でしたが、子(己

記事を読む

Comment

  1. かわしりおっちゃん より:

    きっと自分でバス運転して行ったんや、きっとそうやで。

    • atsushijp より:

      >おっちゃん…

      そうかもしれません。
      実際、それを可能にしちゃう資格はあるわけで(笑)

      でも、駐車とか想像したくないなぁ。一度、僕と二人きりでのバス旅行(空港からの帰り道)で、普通にコンビニに駐車しようとして悲惨な経験をしたことがあるので。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Sponsored Link

PAGE TOP ↑