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刺し子と共に生きていく。

公開日: : アメリカ生活, 刺し子




さて。

34歳の誕生日を、知人のプロジェクトのお手伝いで徹夜作業で満喫し、一ヶ月程経過して、少し落ち着いてきて。

 

最近、ふと思うようになったは、「35歳になる手前の年にして、やっとで足元が固まってきた」ということ。悪く言えば「諦め」。良く言えば「再発見」。なんだかんだで僕の人生における使命はずっと目の前に提示されていて、でも僕はずっとそれを否定し続けて、でも逃げても逃げても使命は僕の前に笑顔で現れて、やっと最近、真摯にその使命と向き合えるようになったというだけの話なのかもしれないのだけど。

 

やっぱり僕は、「刺し子」と共に生きていくんだな……と。

そして、僕はアメリカで、アメリカ国籍を持った娘の父親として生きていくんだなっと。

 

未来が固まった感があるのです。

 

自分ではない何者かになりたかった

刺し子という家業を継ぐことが、どうしても嫌で嫌で仕方なくて、海外に飛び出した10代後半。

東京での日々に刺激と疲労感を感じつつも、自分の時間を切り売りするような日々に安定感を感じていた時に受けた、親父からの会社再建への相談。

「家業」の数字だけを追い続けた5年。

 

30歳を迎えるまで、僕はきっと、「自分ではない何者」になりたかったんだろうと思う。

プログラミングが身近になったと聞けば、参考書やサイトを巡って手を出してみたり、「オンラインショップで副業を!」というキャッチコピーと共に自分でサイトを運営してみたり、投資&投機を勉強して、痛い思いも良い思いもしてみたり、とりあえず「誰かに認めて欲しい」一心で、自分ではない誰かになろうとしていたんだろうと。一番わかりやすい結果である、「お金」という資産を目的にして。

 

家業だった刺し子は、「毎月の自分の給料」を稼ぎ出すための手段であり、スケールメリットが見込めない商売だと判断したからこそ、(当時からみた)2020年〜2025年の負債なき閉業を目指してソフトランディングを模索しつつ、そして僕は、違う自分になる努力をし続けたんだと思う。

結果的に、それは意味がなかった行動なのかもしれないけれど、ただその意味がない日々がなければ、この結論にたどり着けなかったのも事実なんだろうと思う。

 

 

可能性を感じだした後、確認するまで5年

震災後に出会った、「刺し子」の、そして「手仕事」の持つ力。

親父の死と、一度はっきりと突きつけられた「刺し子」との決別。

母親からの願いと、再度向き合うことになった刺し子への僕の新たな気持ち。

 

2012年以降の変化の中で、僕はきっと、「刺し子と共に生きていく」という僕の人生においての使命であることに、少しずつ気がついていたんだと思う。ただ、本当に「刺し子」なのか……と、いう確認の作業に5年もの日々が必要で、その5年の中には、親父の死を乗り越えることだったり、自分の今までの過去の(トラウマ等)の整理でもあったり、母親との対話だったり、僕が父親になったことだったり、(おそらくだけど)アメリカに永住することになるだろうということだったりという様々なご縁が含まれていて。

 

残された母親と、本来家業を継ぐはずだった長男。

この二人が「刺し子」というキーワードで繋がり、残されて、でもひたすらに刺し子に向き合ってみている。今までは「商品」でしかなかった刺し子を、自分で扱い、自分の手を使い、頭じゃなく身体を使って感じていくことで、「刺し子の未来への可能性」と「残された僕の使命」を強く感じるようになっていって。

 

 

 

 

何も変わらないけれど。刺し子と共に生きていく。

こんな仰々しい文章を書いてはいるけれども、結局、僕の日々は子育てと刺し子という、今までと何も変わらないものではあって。ただ、そこにほんの少しの「覚悟」と、ちょっと膨らんだ「これで良いんだ」という自己肯定感が芽生えてきて、それを久々に文章に残しておきたくて。

 

何も変わらないから、きっと様々なことに手を出しては、失敗したり時間を無駄にしたりするんだろうし、スピリチュアルも追求するし、文章も書いていくし、趣味は沢山持つだろうし。何よりまだまだ兼業主夫だし、僕の家族での役割は、家族が平穏に暮らせるように条件を整えることだし。「刺し子」だけに執着するつもりは全くなくて、寧ろこれまで以上に、「刺し子以外での思い」が刺し子に繋がるんだと思って、人生を楽しんでいけたらと思っている。

 

ただ、刺し子で生きていくという言葉通り、これ以上、「僕以外の誰かの人生」を追い求めるような日々ではなくなるだろうと。

刺し子で生活ができればそれがベストだけれど、収入が間に合わなくても何とかなるような頭を使いながら、でもずーっと刺し子を身近に感じて生きていけたらと。

 

「刺し子って単なる針仕事でしょ?そんな、人生を懸けるようなものなの?」

ごもっともな質問。僕自身、ずーっと自分に問い続けた質問。

 

 

きっと、その単なる針仕事の中に、僕ら人間が欲しいと思う未来が見えてきたから、こういう覚悟が出来てきてるんじゃないかと。

誰かの為、そして自分の為の刺し子。手仕事。

 

うふふ。

35歳手前に、こういう思いを持てたことは、今のご時世、結構良いことなんじゃないかと楽しみにしておるのです。

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