またヒトツ、歳を重ねて。

先日の誕生日には、沢山のお祝いコメントを頂きありがとうございました。30代に突入した後は、誕生日を迎える事に対して不安になったりするのですが、今年の誕生日は特に悲観的になる事も、逆に浮かれる事もなく静かに落ち着いた誕生日を過ごす事ができました。

思い返してみると、こうしてゆっくりと、マリナと誕生日を一緒に過ごすのは学生時代ぶりかもしれません。つまりは、もう7年以上も一緒にゆっくりと僕の誕生日を過ごしていない事になるのです。以前の仕事では10月には一年の一大イベントがあり、また秋口は仕事が一番忙しくなる時期でもあったので、基本的には日本に居たのです。また、なんとか仕事を調整して誕生日その日にアメリカでマリナと一緒に居たとして、迫っていた帰国日時を気にしたり、仕事を気にしたり……っと、家でゆっくりとテレビを見ながら過ごす誕生日というのは、もはや記憶に無い程の昔の事です。

ゆっくり、今の状況を支えてくれるマリナと、そして今の状況に至るまで支えてくれた多くの友達と大切な家族と、そして今の状況への第一歩のきっかけをくれた亡き親父に、感謝をする事ができた誕生日になりました。これを幸せと言わずに、何を幸せと言えばいいのか……なんて思いながら。

マリナに

「誕生日プレゼント何が欲しい？」

っと聞かれて（昔のお金の無かった頃の名残で、まずは欲しいものを確認する、基本的にサプライズ無しの夫婦になりましたw）

「欲しいものなー」

っと答えながら、続く言葉が出てこなかった僕。考えても欲しいものがなかなか出てこず、結局、Amazonやネットショップを半日ほどブラブラして欲しいものリストを作ってみました。結局、そのリストに上がったものは、日々の生活に必要で冬迄に揃えなきゃいけないなーっと思っているもの + 読みたいっと思っている本でした。

20代はもっとギトギトした欲にまみれて、欲しいものだらけだった気がするのに、どうしちゃったんだろう……なんて思いつつ、この脂っ気がない変化に面白みも感じていて。日々の生活の中でお金を使う事が殆どないし、もっと言えば、使えるお金もあまり残ってないので、このWishリストに乗っているものも、きっと揃わないんだろうなーっと思いつつ（笑）以前、Wish Listを公表してた方もいて、面白いなーっと思ったので、僕も公表します。プレゼントして下さった方には、全力で感謝の念（気）を飛ばします。マジで。ありがとうございます。

Amazon Wish List 

*誕生日に僕がブラッシングした時の一コマです。

幸せを積み重ねていく30代へ

20代の頃は、というか一年前迄は信じられなかった程の静けさが、今の僕にはあります。上で書いた「脂っ気がない」という表現が近いのか、生き急ぐ事がなくなったというか、もっと言ってしまえば、少し悟り出したというか。

幸せは作るものだと思ってました。幸せは常に未来に存在するものだと思っていました。

完璧じゃない過去を振り返り、過ちを見つめ直し、そして改善して行く事で、より良い何かを未来に作る事ができ、それが幸せの土台になるのだと信じて目の前の課題に一生懸命向き合っていました。去年の誕生日には、既に自分なりの使命を感じていたし、2011年の誕生日に自分の仕事の存在意義をも認識していたので、当時から見た”10年後の幸せ”を常に意識していました。そして、その”10年後”に向かうために、必要な事を日々どれだけ完遂できるかが僕の価値観でもありました。

仕事での実績、人脈、効率、生産性、戦略、経営、そして大きな視点でみた『役割』。

これらが僕の基本概念であって、それを支えてくれるのがマリナであり、家族であり、友人知人だった様に思います。とても満たされていた時期でした。日々が刺激で満ちあふれていて、苦しみながらも悩みながらも、打てば響く鐘があり、その鐘の音を楽しんでいたのだと思います。その鐘の音が未来への幸せへと繋がる事を信じながら。

親父が亡くなって、その親父の言葉にならないメッセージを受け取った後、僕は上記の『役割』の全てを一度失いました。20代の僕は、どうしても仕事を中心にして未来を考えていた為、というか家業を守る事こそが僕のアイデンティティだと言い聞かせた20代後半だったため、そのアイデンティティが奪われた瞬間に、エアポケットに入ってしまったのです。それがこのブログの出発地点であり、そして強がりの文章の集大成でもあります。

親父の死から、12ヶ月目に突入です。落ち葉が舞う季節に、親父は逝きました。

そして、その12ヶ月の間に、僕はほぼ全ての価値観をシフトさせる事に成功したのだと思うのです。少なくとも、シフトし始めることには成功しました。その価値観の変化がいつ完了するのかはわからないけれども。

その価値観の変化のヒトツが、”幸せは作るものじゃなく、気がつくものだ”というマリナの言葉。

『幸せ』に、未来も過去もありません。もっと端的に言ってしまえば、僕ら人間に、未来も過去もありません。あるのは、『今、この瞬間』だけなのです。幼いときから、『未来にある幸せ』を追い続けるように教育されている僕らは、どうしても今、手にしている幸せを感じる事に疎くなってしまっています。でも、どんな人でも、今その瞬間に幸せを感じる事はできる様に思うのです。

「良い大学を出たら、良い会社に入れて、そしたらきっと幸せになれるから」という日本の教育に置いての当たり前が、僕の当たり前でもあって、そこには、「今頑張って未来の幸福を手にする」というコンセプトが根付いています。

逆も然り。

「今頑張らないと、後悔する事になるから。」という未来の不幸の可能性をもとにした教えも、僕らの当たり前になっています。人間は、どれほど頑張っても過去に対しては後悔をする様にできているのにも関わらず。そして、どんな過去に対しても後悔をしない事によって初めて、今の幸せを手にする事ができるのにも関わらず。

マリナが教えてくれました。

「幸せは線で表現できるものではなく、点で存在するもの。ずっと幸せを感じ続ける人が存在したら、その人は病気だと疑った方がいい。それほど、幸せは儚いし、逆にどこででも感じられるもの。その点で存在する幸せを、できるだけ沢山積み重ねて、遠くから見たら一本の線になっているような人生を送れたらいいよね」

っと。

そんな30代になればいいなっと心から思っています。

『幸せ』について、僕の全てのパラダイムシフトを、今こうして書く事は難しいですが、いつかヒトツの物語として書く事ができたら……なんて思っています。直接面識がある友達には、『僕の夢』として20代に入ってからずっと共有している事ではあるけれども。

皆様も、幸せの点が重なる幸せな日々を送る事ができますように……。